『0課の女 赤い手錠』

映画 0課の女 赤い手錠 日本映画
写真はイメージ

クールビューティー進化系 杉本美樹と「狂気」の競演

 我が家の庭(極狭)のバラ、冬の寒い時期に剪定、肥料は1回だけに端折ったものぐさな育て方だが、毎年ちゃんと咲いている。植物の生命力は強い。特に赤色のバラは葉の緑に囲まれると燃え上がるような存在感を増す。まさに真紅のバラだ。本作の主人公、零は赤いコートに身を包み(おまけに手錠[ワッパと読ませる]も赤)、ときに真っ赤なバラのような激しさで敵を追い詰める。
 1974年東映 監督 野田幸男
「0課とは、警視庁におかれた捜査課のいずれにも属さず特殊任務のために法を無視しても行動する秘密の部署。次期総理大臣候補・南雲善悟の娘、杏子が誘拐された!友人エミー殺しの犯人を殺した罪で留置所に入れられた0課の女刑事(デカ)零は、杏子を無事連れ戻すことを条件に釈放され、“ヨコスカの玉ころがし”と称する犯人グループに潜入することに成功するが・・・。」(東映ビデオHP)
 梶芽衣子主演の「女囚さそり」のヒットを受けてか、同じ原作者(篠原とおる)によるコミックの映画化。主役の女デカ杉本美樹はクールというかぶっきらぼうな感じのエキゾチックな長身だが、ときに熱く、まさに「(女)体を張って」奮闘、アクションもなかなか。比類なき新規軸のクールビューティー。
 野田幸男監督は師匠筋にあたる石井輝男監督の初期作のスピード感と中期のエログロをない混ぜにした独自の世界観を創出。カット割の細かい監督と言われるが、そのためかインパクトのあるショットの積み重ねがリズミカルで、かつ展開も目まぐるしく飽きさせない。
 犯人グループの狂気班(郷鍈治・荒木一郎)とそうなりきれない小物班(小原秀明・遠藤征慈)の対比の妙。郷鍈治の始末後の高笑いと三原葉子姐さんの「浴槽」は夢に出そう。追う刑事(室田日出男)に銃を突きつけられた小原秀明のすぐ横で埋めるための穴を掘る別の刑事。そうした「息抜き?」があるので、若干ご都合主義的な筋書きで継続的なエログロテンションでも、最後まで一気呵成に観終わってしまった。
 ラストで総理候補の父親(丹波哲郎)を睨みつける目力が印象的な娘を演じた岸ひろみ、他の作品にはあまり出演していないよう。可愛らしいビジュアルの人だが、回され、打たれ、弄られ・・は過酷だったのでは。荒木一郎(サングラス帽子で表情が分からず常にナイフ所持で非常に不気味)はノリノリだったが、リアクションがガチな感じでコンプラに毒された現代の感覚ではとちょっと引く。真紅のバラのような零のコートはまた花開くのか。根こそぎ抜かれてしまったような気がしてならないラストショット。
 (星3.0)
 

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