昭和元禄 歌謡映画ファンタジア
尾崎奈々を観る会会員必見!
1968年松竹 監督 斎藤耕一
当時人気を誇ったGS、ヴィレッジ・シンガーズの表題曲の映画化。2ヶ月後には同じくGSもの「小さなスナック」が封切られるので斎藤監督 歌謡映画にハマっていた(ハマらせられた)時期。この頃ヴィレッジ・シンガーズは「バラ色の雲」「亜麻色の髪の乙女」とヒット曲を連発していた。作詞は「虹の中のレモン」含め全て橋本淳だが、立ち止まって考えよう。バラの色した雲ってどんな雲? 虹の中にレモン? ・・まあ「太陽は泣いている」わけだし、さすが淳。作曲はこちらも全て筒美京平。名コンビ。ちなみに橋本+筒美の作品としては、「渚のうわさ」(弘田三枝子)、「くれないホテル」(西田佐知子)、「黄色いレモン」(望月 浩。淳はレモン好きね)を本日の私的3大名曲とします。
さてこの映画、鎌倉に佇む前田邸を舞台に、主人の剛造(加東大介)に反発して家出した息子の健(竹脇無我)と、空き家同然となった前田邸を遊び場として借りている児童養護施設の保育士エミ(尾崎奈々)との恋愛模様を軸に、ひょんなことから健と知り合い前田邸に出入りすることになったヴィレッジ・シンガーズが絡んで展開する。
全編87分はリズミカルに進行。前半はヴィレッジ・シンガーズが中心、コンサート会場で、浜辺(七里ヶ浜?)で、「江ノ電」の中で、何曲も歌いまくる。後半は若いふたりの色恋にテーマは移行。ヴィレッジ・シンガーズは5人組のグループだが、みな意外にもそつなく演じている。歌謡映画には珍しく歌手がストーリーに関わっている。芝居が「できる」と踏まれたようだ。メンバーの仲も良さそうなのが節々に感じられ、そういうところにも好感が持たれたグループなのかな、と勝手に推測。そこにゲスト的に八百屋の御用聞( 白木みのる。子どもと混じってかけっこさせてるのは今日日はNGか?)や押し売り(東八郎・小島三児・原田健二の3人組のトリオ・スカイライン)、劇団木馬座の当時の人気キャラ「ケロヨン」(今見るとちょっとグロい)まで登場するもお茶を濁す体で、いささか不完全燃焼感が。
竹脇無我は最初不機嫌だが、チャーミングな尾崎奈々によって徐々に心のわだかまりが解かれていく。わかる。この2人の芝居は見た目と違って少々くどくねちっこい感じだが、アイドル映画=おとぎ話の世界として捉えれば、あまり違和感なく成り立ってしまうから不思議。(ディズニーランドの重箱の隅をつつくようなことはしないのさ、大人だから。)それが二人の魅力のなせる技。それにつけても竹脇無我は不機嫌がよく似合うねえ。
離婚した母親(沢村貞子、って姉弟で夫婦!よくOKしたな。)を訪ねた帰りの健とエミの雨宿りのシーンは記憶に残る本作のベストショットと勝手に認定。
脇役の若干弱めな部分があるのは惜しいが、ヴィレッジ・シンガーズ・尾崎奈々推しは堪能できるはず。「虹の中のレモン」だもの、昭和元禄期のファンタジーの世界に浸りましょう。私が言うのもなんだが、メインボーカルの清水道夫は説得力がある響く美声のバリトン。尾崎奈々のクローズアップは過剰なほど盛り沢山で至福。(星3.0)

