いづみ・ルリ子・アキラによる 尼寺を舞台にした異色ラブコメ?
アイドル映画の巨匠 西河克己の面目躍如
1958年日活 監督 西河克己
「田舎の尼寺に遊びに来た都会の大学生カップルと若い尼さんのひと夏の物語。自由でおきゃんな浅丘ルリ子と爽やかな小林旭、清楚な尼さん役の芦川いづみ、3人の魅力が光る青春映画。」(日活HP)
悦子(浅丘ルリ子)と昭夫(小林旭)は友達以上恋人未満の大学生カップル。夏休みの気分転換(昭夫は卒論を書かねばならない)に悦子の親戚の尼寺へ遊びに行く。寺には昌光尼(東山千栄子)や栄勝尼(高橋とよ。二人の掛け合いは見事)、智道尼(七尾伶子)といったおばさま尼の中に若い美貌の昌妙尼(芦川いづみ)がいて、昭夫は心動かされ、悦子ジェラる、というラブコメの構図。
芦川いづみの尼さん、上り調子のスターがよく承諾したと思うが、まさに清楚な佇まいの方だけに異形も全く違和感なく馴染んでいる。「渡り鳥シリーズ」が始まる前のスター黎明期の小林旭、ライトコメディを飄々とこなしていてちょっと意外。監督の演技指導の賜物か。浅丘ルリ子は、勝気でせっかちな都会のお嬢様を熱演。都会では早口でまくし立てるのが田舎に行くとそのチャキチャキ感が薄まるのが面白い。3人とも適材適所の配役。
本作も吉永小百合や山口百恵の数多くの代表作、後年ではアイドル時代の小泉今日子の作品(『生徒諸君』)を手がけ、アイドル映画の巨匠と呼ばれた西河克己監督の面目躍如。松竹出身で蒲田調・大船調の女性映画の薫陶を受けた方なのでお手のもの。芦川いづみや浅丘ルリ子の仕草、ポーズ、どう演ずれば心象表現に繋がりどう撮れば綺麗に美しく可愛らしく見えるか、を常に追求している跡が伺える。(ex.浅丘ルリ子が釣鐘を叩く撞木に頬杖つくシーン)悦子・昭夫はチャキチャキ・おっとりの対比が面白いカップルなので、逆にアキラの方は、スッとしたイケメンぶりをいかに崩すがに腐心したようだ。
また、ロケ好きの監督だけに、ロケ先の選定も素晴らしい。(有吉佐和子の原作、映画では北陸の設定だが、実際のロケ地は伊豆半島の旧大仁町付近。)緑深い町を見下ろす小山の上の尼寺、尼寺近くの田んぼに囲まれたバス停のT字路とボンネットバス。昌妙尼の実家近くの入江の小さな砂浜と切り立った岸壁・・・ひとつひとつのショットが名作絵画の趣き。
プロットもうまく出来ている。昌妙尼が持つ将来に対する不安、それを打ち明け頼りにできる唯一の存在昭夫に至るたたみ掛け。明夫の爽やか純粋な衝動が昌妙尼にとって覚悟を決めるきっかけとなった。先行き明るい結末もいい。
(星4.0)

