復活の狼煙を上げた東映「ギャング」シリーズ “本物”安藤昇に賭ける!
1967年東映 監督 降旗康男
昭和30年代中盤に石井輝男、深作欣二監督らにより量産された「ギャングジリーズ」が鵺雨のように安藤昇主演で復活。ただし安藤主人公は復員兵くずれで第三国人により占領されようとするマーケットを力ずくで守ろうとする義侠心の強い男、決して「ギャング(=強盗団)」ではないのだが。
安藤昇は本物の任侠出身、新宿を根城とした安藤組元組長。コンプラのうるさい現代ではありえない転身だが、当時でもかなり異例なこと。このシリーズを復活させてまで安藤を主役に据えさせたのは、かつてこの名シリーズの主役を多く務めた後にスターダムにのし上がった高倉健や鶴田浩二にような東映の屋台骨を支えるスターに彼をステップアップさせたいと目論む東映首脳陣の期待の強さによるものか。
安藤昇は声もか細く聞き取りづらいが、頰にはリアルな刀傷、その陰鬱な表情から発せられる低声は凄みを増す。芝居がうまいとは言いがたいが、その体型(意外に小柄)を十分カバー。そのほとばしる「凄み」威圧感なるものが彼のキャリアを背景としたものか、「演技力」の賜物かは判断の難しいところ。
ストーリーは終戦直後のどさくさあるある的なものなのだが、情に厚い昔気質の親分を演じるのが志村喬だったり、反社に無力な警察幹部を丹波哲郎がオーバーアクション・ハイテンションに押し出し強く熱演、と配役は適材適所。安藤昇とともに敵に立ち向かう「ギャング」の一員に千葉真一。帽子をなぜか意味なく目深に被っていて顔が判別できず途中で分かった。千葉ちゃん監督に嫌われたのか? その他ピラニア室田日出男、小林稔侍の若かりし初々しい姿も。ラストは少々予想外の展開で寂寥感漂い余韻を残す。安藤昇は儲けもの。終わり良ければ全てよし。監督3作目にしてドライな演出冴える降旗康男、ハードボイルドを得意とした脚本石松愛弘の力量を見る。ここに至るために観る映画かとも。(星3.5)

