なんだかいろいろな意味ですごい映画だ
遅ればせながら観てしまったからには、書かない訳には行かない。そんな出会いだ。これが日本映画の面白さ。
2024年 監督 安田淳一
ネタバレしないように慎重に書きます。あらすじはタイトルを見てもなんとなく想像がつくが、もう一捻りあった。現代にタイムスリップした侍の現状に対する認識と、その侍に出会った現代の人たちの彼に対する認識がズレているのだ。その状況は最後まで変わらずに無理なく進行してズレたままで、かつ連鎖する、というのが他の転生もの映画・ドラマとひとくくりできない本作のオリジナリティ。その辺の違和感が無いように脚本もしっかり練られている。
出演者は主演の山口馬木也をはじめ、どこかで観たことある人、全く初めて観た俳優といった感じなので役柄のイメージに染まっている人がいないのだが、どの方も絶妙に実にリアルにキャスティングされている。(そしてもちろん生き生きと演じられる。)そうした部分の妥協のなさにも製作者の矜持を感じる。
人気者寄せ集めの金太郎飴映画、内向き、内輪受け、独りよがりの日本映画が多い中、低予算、自主制作という環境のもと、エンターテイメントを徹底的に追求した本作に関わった全ての方々に僭越ながら賛辞を贈りたい。熱量の強い映画だ。安田監督の人となりはTVのドキュメンタリーで拝見し、そのひたむきな実直さに感銘を受けた。なかなか出来ないことをやってのけた監督に幸あれ。(星4.5)

