『次郎長社長と石松社員 安木ぶし道中』

映画 次郎長社長と石松社員 安木ぶし道中 日本映画
写真はイメージ

 中村賀津雄×進藤英太郎による“東映”サラリーマンもの
という変化球が芯を喰う

 乗りかかった船(って誰も乗ってない?)、伊藤敏孝の足跡を辿る旅を続ける。
 遡ること12年。1963年東映。次郎長社長(進藤英太郎)と石松社員(中村賀津雄)シリーズ第6弾。
 シリーズものの所謂プログラムピクチャーの位置付け。確かにご都合主義な展開が随所に散りばめられ、結末も強引といえばその通りだが、主役の二人(悪役でない進藤英太郎にちょっとびっくり。東宝の社長シリーズの森繁久彌風、森繁-小林桂樹を東映でやったわけだ)の巧さ、千之赫子(ドラマ「3年B組金八先生」の加藤優の所帯やつれしたお母さんはその後。ここではほんのりとしたお色気の芸者役)、三條美紀(伊藤敏孝の生き別れの母役。少々トウがたって落ちぶれた役なれど「若かりし頃はさぞ」と思わせる品格。)、中原ひとみ(牛乳瓶メガネをとった後のギャップ萌え)と女優陣もチームを盛り上げる。中村賀津雄は本当はこっち(ライトコメディ)に本領を発揮する人だったのかも。役柄のためかもしれないが、何か生き生きと楽しそうに演じている。(偉大なる昭和のスター中村錦之助は人気だけでなく硬軟縦横無尽な演技巧者であったが、生涯比較され続けるであろう弟として、いかなる立ち位置を見出すべきかの苦悩のプロセスの過渡期とも言えなくもない。)梨園出身ということも関係しているのであろう品格と明朗さとともに背後に控える影は兄の方に強烈だが、この若かりし彼にも一方でそれ以上の苦悩の影を感じざるを得ない。
 肝心の伊藤敏孝。面影あり。(というかほどんど変わらず)東北の山村から「綴方」の表彰のために都会に出てきた小学生の一人で、その会場に向かう道中で先の生き別れになった母がいる場所がわかり、石松と先生(中原ひとみ)とその母に会いに山口へ。その落ちぶれた母(良家の奥様でない三條美紀好演)を見て一旦は拒絶するも、「以前のおっかあになって戻って来る」ことを信じ固い抱擁をして別れる。同行の5人のこともよりも少し体格が大きく、他の子どもたちよりもちょっとしっかりした感じ、なれど子どもらいしいいたずらは率先してやるような「おとな子ども」の感じを上手く表現。印象に残る演技、雰囲気ではあるのだが。子役からおとなの役への脱皮はなかなか難しい。
 なお監督は乗り物好き瀬川昌治。後半はロードムービーなのだが、移動手段は電車(特急)、市電、バス、自動車、渡船とさすがバラエティに富み昭和30年代の動く「のりもの図鑑」の形相。
 その他わかったこと。
・由利徹は実は結構二枚目(喜劇役者は「実は結構」な人が多い)
・まっけんよりもごーとんの方が千葉ちゃん(千葉真一)似。(星3.0)

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